食料品や日用品などの生活必需品は、一軒のスーパーマーケットでまとめ買いする習慣がすっかりと定着しました。町の中心には必ず見かけるスーパーマーケットですが、日本に登場したのは1950年代のことです。欧米の効率的な生活スタイルを取り入れたのですが、カナダのトロントのダウンタウンには100年以上も前から市民の台所が作られ、現在も数多くの市民で賑わっています。 トロント市内でも最も大きな鉄道駅ユニオン駅からフロント通りを東へ徒歩約10分のところにセント・ローレンス・マーケットがあります。道路をはさんで南と北に棟を構える市営の市場です。レンガ造りのサウス・マーケットは、初代のトロント市庁舎を改築したものです。 現在のサウス・マーケットには1845年から50年あまり、1階に警察署、地下に牢屋、2階に市庁舎、市議会議事堂が入っていたのです。市の人口は19世紀に爆発的に増加したため、1899年に新たな市庁舎が建てられました。残された建物は全面改装され、1904年から市場として利用されるようになったのです。 サウス・マーケットの正面の壁に嵌め込まれた白色のレンガ、アーチ状の入口、窓、赤色の木の扉は、創建当初の姿が残されています。門を潜って中に入ると、2階建てのフロアには、野菜や果物、肉、魚など地元でとれた新鮮な食材をはじめ、オーガニック食材の専門店、デリカテッセン、ベーカリーなどが並んでいます。細長いフロアには120前後の店舗が軒を連ねているのです。民芸品やメープルシロップの種類も豊富で、格好のばらまき土産を見つけることができそうです。 多種多様のショップばかりでなくフードコートも充実しています。世界各国の料理が揃う中には、寿司のコーナーまであります。カナダでは比較的珍しいオリジナル食品のピーミール・ベーコンサンドも見逃すことができません。分厚いベーコンのまわりにコーンミールをまぶしたサンドは食べ応えがあります。館内に休憩スペースも設けられていますから、スナック類を買って市場の中で食べることもできます。 ノース・マーケットでは現在、土曜日にファーマーズ・マーケット、日曜日にアンティーク・マーケットが開かれています。ノース・マーケットの建物はまもなく取り壊し、新しい建物に改築される予定がありますから、今の姿を見たい人は早めに訪れる必要があるようです。【データ】施設名:セント・ローレンス・マーケット St. Lawrence Market住所:92-95 Front St. E., TorontoTel:(416)392-7219URL:http://www.stlawrencemarket.com/営業時間:<サウス・マーケット>火〜木曜日8:00〜18:00,金曜日8:00〜19:00、土曜日5:00〜17:00,<ノース・ファーマーズ・マーケット>土曜日5:00〜15:00,<ノース・アンティーク・マーケット>日曜日5:00〜17:00 大林 等メーカ勤務の出張とプライベート旅行で渡航した国の数は49になります。各国での 異文化体験は数知れません。カルチャーショックを起爆剤に、各国の歴史や文化に 深く切り込むスタンスを崩すことなく持ち続けています。観光情報から社会、習 慣、宗教、グルメ、アート、民族芸能まで、ジャンルの垣根を超えた海外での経験 を、各種の雑誌やWebサイトなどで発信し続けています。Facebook: