西欧の列強に翻弄(ほんろう)されるマラッカ王国の歴史の象徴 2008年にペナン島ジョージタウンと共にマレーシア初のユネスコ世界遺産に登録されたマラッカ(Malacca)。※マレー語ではムラカ(Melaka)観光の中心となるオランダ広場 (Dutch Square)にはオランダが征服した際にオフィスとして建築された赤いスタダイス(Stadthuys)が目をひきます。すぐ後ろの小高い丘はセントポールの丘(マラッカの丘)はマラッカ海峡と街をのぞむ絶好の場所。丘の上には1511年にポルトガルに占領された後の1521年にイエズス会によって建てられたカトリック教会のセント・ポール教会(St. Paul's Church)の姿が今も残っています。 スタダイスからマラッカの丘へは遊歩道のような小道を登っていきます。晴れた日は陽射しもきついのですが、ふと足をを止めると真正面にマラッカ海峡が見え風が心地よく涼を感じられます。 ポルトガルのカソリック教徒が建立して以来、オランダ、イギリスと支配されながらも以降は宗派の違いにより使われることなく朽ちていってしまったセントポール教会。屋根はすでにないのですが、かろうじて外壁が残っており当時の様子を伝えています。 日本にもキリスト教を伝えたフランシコ・ザビエルの像 日本にキリスト教を伝えたことで知られるフランシスコ・ザビエルはマレーシアでも布教活動を行っていました。セント・ポール教会に建つザビエル像はよく見ると右手がありません。ザビエルが亡くなった際、ローマ教皇にそれを伝えるため右手を送ったため、あるいは像に落雷したためなど諸説あります。 教会内部も当時そのままの姿で残っている部分もあります。教会の奥で土産物屋を営む主人によると石碑には名前が刻まれ、日本人の名前もあるとのこと。外には近代的なマラッカのホテルやコンドミニアムなどの高層ビルや街並みが広がっています。 サビエルの丘は風通しがとてもよく、暑さが厳しいマラッカとは思えないほど涼しげな空間が広がっています。マレーシアらしいのんびりとした時間が流れ野良猫が3匹寄り添って気持ちよさそうに昼寝をしていました。教会周辺の緑多き場所は、大道芸人やおみやげ、飲み物などを売っています。風を感じながらゆっくりと散策できます。 丘のふもとにはサンチャゴ砦と砲台が 来た方向と逆に丘を降りると見えてくるのがサンチャゴ砦 (Porta de Santiago)。マラッカを征服したポルトガルが築いたもので、4カ所のうち現存するのはここだけとのことです。ポルトガルの後にオランダ、イギリスそして日本と征服され複雑な歴史を持つマラッカ。マラッカの丘も世界遺産の一つとして訪れる人が後をたたない魅力で満ち溢れています。 【データ】店名:セントポール教会(St. Paul's Church)、サンチャゴ砦 (Porta de Santiago)住所:Jalan Kota, Bandar Hilir, 75000 MelakaTel:+60 17-202 6037 逗子 マリナ広告代理店、コミュニティ紙の取材記者、その後フリーランスへ。雑誌ライター、ムック本コピーライターの他、現在は主にWebを中心に寄稿。今まで訪れた国は約30カ国。アメリカ、オーストラリアと海外在住歴はのべ8年。現在はクアラルンプール在住。旅は寄り道や偶然に発見が多いので自分で車を運転していくのが好き。