石灰岩の裂け目の中に入ると出現する中華寺 マレーシア北西部にあるペラ州イポー( ipoh)。自然の山々だけではなく石灰岩(ライムストーン)に囲まれているため、街のいたるところから乳白色の山肌が見えます。郊外にはそのライムストーンの山肌に建立された洞窟寺が数多く点在し、ペラ・トン(霹靂洞・Perak tong/Perak Cave Temple)などがよく知られています。今回ご紹介するケッ・ラッ・トン(極楽洞・Kek Look Tong/Kek Look Tong Cave Temple)もそのひとつ。 市内を走る幹線道路を外れ、住宅街を超え、人里を少し離れると緑に囲まれたライムストーンの切り立った岩壁と寺院名のついたゲートが突如として姿を現します。イポー中心部から南へ5kmほどの場所なのですが、周囲に人家などがないのと、人を寄せつけぬような切り立った岩肌を見るとかなり遠い場所まで来たような気持ちに。また近くにはバスなどの公共交通機関がないため、アクセスは車かタクシーなどに限られます。そのためちょっとした秘境といった風情。 中は思ったよりも広々としている洞窟寺院 ケッ・ラッ・トンの歴史は1920年代にさかのぼります。仏教徒の信仰の場所として人々が集まり、やがて1960年代に寺院が建立されたとのことです。また周囲は鉄鉱の産地として、多くの労働者が集まり栄えていた時期もありました。入り口付近には三体の仏像がまつられています。洞窟というと涼しいイメージですが、中は風が凪いでいるせいか蒸し暑さがあります。 洞窟というイメージから中は真っ暗なのかと思いきや、実はトンネルのようになっているため明るさが届く場所も。それでも光の届かない場所にある照明に照らされた鍾乳洞は美しくもミステリアス。頭上の真上に迫ってくるような鋭い鍾乳石(しょうにゅうせき)に自然の驚異をおぼえます。 洞窟寺の出口に広がる美しき中国式庭園 ケッラットンには寺院の奥に広がる中国式庭園があるのでこちらも見てみましょう。池を中心とした緑多き公園で、遊歩道が整備されています。散策の途中には蓮が浮かぶ池のそばにパゴダがあったり、小石を敷き詰めた足裏マッサージの石畳があったりとリラクシゼーションもできそう。このようにケッラットンには多くの見所があるのですが、冒頭でお伝えしたようにアクセスがあまりよくありません。個人で行く場合は、タクシーアプリ(※)などを使うことで事前に目的地までの固定料金やおよその料金がわかるので利用してみても。※事前にスマホなどにインストールまたツアーなどの行程に含まれている場合もあります。 【データ】店名:ケッ・ラッ・トン(極楽洞・Kek Look Tong/Kek Look Tong Cave Temple)住所:Gunung Rapat,Ipoh, PerakTel:05-312-81129URL:http://keklooktong.org/営業時間:7:00-18:00 ※早めに閉まることもあるようです。休み:なし 逗子 マリナ広告代理店、コミュニティ紙の取材記者、その後フリーランスへ。雑誌ライター、ムック本コピーライターの他、現在は主にWebを中心に寄稿。今まで訪れた国は約30カ国。アメリカ、オーストラリアと海外在住歴はのべ8年。現在はクアラルンプール在住。旅は寄り道や偶然に発見が多いので自分で車を運転していくのが好き。