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2代目社長が伝統を塗り替える 〜歴史ある牛市場として栄えた町の新焼肉

    
八田 靖史
八田 靖史
蔚山の新名物となった彦陽トッカルビ。肉汁がじゅわっとあふれる

えーと、次の肉を全部切らないで途中までハサミを入れてストップしてください。そう、そこでストップ! はい、撮ります! パシャッ、パシャッ、パシャッ。あ、待って、まだ全部切らないで。あー、切れちゃいました? じゃあ、次はこの肉をこのへんまで持ち上げて、もうちょっと手前がいいかな、そうそこ。それで同じく途中まで切って……ストップ! パシャッ、パシャッ、パシャッ。まだまだまだ。パシャッ、パシャッ、パシャッ。あ、もうちょっと待って! なんていうやり取りは、焼肉店の取材で非常によくある風景です。焼肉を美味しそうに見せるためのちょっとした舞台裏を紹介してみました。

焼かずに出てくるトッカルビ。3つで1人前。写真は3人前で撮影

そして生の状態でもキレイにとって、鮮度を伝えるというのも大事な作業なのですが、こういったスタイルで出てくるのは予想外でしたね。

「ん〜と、ハンバーグ?」

いえいえ、注文したのはトッカルビ。直訳をするとトッは「餅」、カルビはみなさん馴染みの焼肉部位ですが、正確には「肋骨とその周囲の肉」を指します。カルビの部位を包丁で叩き、味付けを施してから餅状にまとめて焼いた料理がトッカルビ。コリアンハンバーグと説明をされることもありますが、食べるとしっかり焼肉の味がするので、やっぱりハンバーグとは印象が違いますね。

焼くときに肉を押さえつけないこと。両面を焼いてハサミで切る

韓国では潭陽(タミャン)、東豆川(トンドゥチョン)といった地域でこのトッカルビを名物としていますが、今回訪れたのは韓国の南東部、蔚山(ウルサン)市の山間部に位置する彦陽(オニャン)という町。韓国の地方料理に詳しい人であれば、彦陽プルコギ(彦陽式の牛焼肉)という名前を聞いたことがあるかもしれません。彦陽は古くから広大な牧草地を有し、また交通の要衝でもあったことから、日本統治時代以降に牛市場の町として発展しました。身近な食材である牛肉の薄切りに味付けをして網焼きにしたのが彦陽プルコギ。香ばしい炭火の風味とともに味わう、産地ならばこその名品です。

焼け目がつくと同時に焼肉のいい香りが漂う。焦がさないよう注意

現在も彦陽に行くと、網焼きスタイルのプルコギを専門とする焼肉店がずらり集まっていますが、ここ数年でちょっとした変化も生まれています。それが彦陽トッカルビという新興勢力の躍進。旧来の彦陽プルコギを得意とする店と、彦陽トッカルビを得意とする店が入り乱れ、ひとつの町でふたつの名物を楽しめるようになってきたというのが地元の方の説明です。

表面が焼けたらハサミでカット。ひとかたまりを3等分が目安とか

そんな彦陽トッカルビ人気の牽引役となっているのが、代替わりによって進化を遂げた「彦陽1番街」。初代が店を開いた40年ほど前から彦陽プルコギの専門店として親しまれてきましたが、2代目のハン・チャンス社長が目の前で焼く方式にこだわってメニューを刷新。料理名を考えると異例の調理法なのですが、カルビ以外の牛肉部位(肩ロース、肩バラ、ロースなど)も用いつつ、むしろ韓牛1頭丸ごと使用を掲げて、他地域とは異なる彦陽式のトッカルビを開発しました。

味はこってり甘め。焼き過ぎると食感が固くなるのでほどほどに

見た目はハンバーグのようであっても、食べてみれば焼肉そのもの。豆モヤシと長ネギを加えた特製ソースが用意されてはいますが、肉そのものにもしっかり味がついています。「下味をつけても肉の色が変わらないように工夫しました。焼かずに提供する以上、鮮度よく見えねばなりません。そこがいちばん苦労したところで、その製法は2007年に特許も取得しました」と2代目社長。醤油、ゴマ油、砂糖などを混ぜ合わせたタレの味が、ジューシーな肉汁とともに口の中で弾けます。

テンジャンチゲを注文するとごはんとセットになって出てくる

ひとしきりトッカルビを味わったら、最後のシメは定番のテンジャンチゲ(味噌チゲ)。あるいは冷麺といったメニューが用意されていますが……。

大きめの器になみなみと汁が入って出てくるテンジャングクス

それに加えてちょっと変わったメニューも発見しました。テンジャンチゲならぬ、テンジャングクス(味噌チゲ麺)。見た目はだいぶたっぷりめの味噌汁風ですが……。

麺もたっぷり入ってボリュームはなかなか。シェア用でもよさそう

中を探ると素麺が入っています。味噌ラーメンよりもあっさり軽く、塩気の中にもほんのり甘味を感じる仕上がり。刻んだ青唐辛子がピリッと効いて、ぞぞっ、ぞぞっとすすりこめば、シメとして胃袋を落ち着かせるのにぴったりでした。

ネオンきらめく立派な建物。店内は広いが食事時は大混雑となる

現在、店を切り盛りしているのは息子である2代目社長ですが、先代のお父様もその下ごしらえを行う肉加工工場の運営を担当。親子2代の共同作業で彦陽の焼肉事情に進化をもたらしているようです。旧来の彦陽プルコギと、新進の彦陽トッカルビ。どちらを食べようか、はたまた両方食べようか悩んでみるのもオツな体験かもしれません。

店名:彦陽1番街(언양1번가)
住所:蔚山市蔚州郡彦陽邑彦陽路37(於音里484-1)
住所:울산시 울주군 언양읍 언양로 37(어음리 484-1)
Tel:052-263-2031

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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