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なぜごはんをふたご山にするのか 〜山奥で味わう香り高きアザミの葉釜飯

    
八田 靖史
八田 靖史
ジップラインの乗り場から見た眺め。隣にスカイウォークもある

連なる山々と深い渓谷。韓国の北東部に位置する江原道(カンウォンド)は、面積の82%を山林が占める自然豊かな地域です。雄大な景色を目の前にして、ついついヤッホーとでも叫びたくなりますが、この写真を撮った時にそんな余裕はまったくなし。ワイヤーロープと滑車で谷まで一気にくだる、ジップラインという絶叫アクティビティに乗り込む直前の1枚です。従ってヤッホーなどと叫ぶ余裕はまったくなく、ただただ「ひええええええええ」という情けない声しか出ないのでありました。スリル満点。高いところが得意な方にはたいへんおすすめです。

旌善五日市場。2と7のつく日に市が立って大勢の人で賑わう

そんな絶景を満喫したのは江原道の旌善(チョンソン)という町。韓国に詳しい人であれば、アリランという伝統民謡の故郷としてご存じかもしれませんし、地方旅行が好きな方であれば写真の五日市場を思い浮かべるかもしれません。山深く足を運ぶのもたいへんな地域ですが、観光シーズンになると大勢の人で賑わう市場です。

韓国式の漬物はチャンアチと呼ばれる。試食も用意されている

もっぱら韓国の人たちが求めるのは旌善名物として知られる山菜の数々。あるいは山でとれるツルニンジンなどの根菜や、韓方材などもたいへん充実しています。写真はそれらを醤油漬け、酢漬けなどにして販売しているお店。

丸くまとめられた山菜。茹でたあと乾燥させて保存性を高めている

あるいはまた乾燥させた山菜なども至るところで見かけます。写真は韓国語でコンドゥレと呼ばれるコウライアザミの葉ですが、ほかにもワラビ、シラヤマギク、オタカラコウなども名産ですね。いずれも同じような見た目なので、教えてもらわないとどれがどれだかわからないものの、食べたときの食感や風味はそれぞれに魅力があります。個人的にはしなっと柔らかなシラヤマギクや、ほの渋い味わいのオタカラコウが好みです。

ごはんを炊く水は24種類の韓方材を煮込んで4日間寝かせている

自宅に持ち帰ってナムルにするのもいいですが、せっかく産地まで来たらその場でも食べたいですよね。数ある山菜料理の中から、旌善五日市場の近隣にあるコンドゥレバプ(コウライアザミの葉の炊き込みごはん)の専門店「菊香(クッキャン)」を訪れてみました。この店の自慢は、注文ごとに釜で炊くというのがまずひとつ。そして、ごはんを炊くときに韓方材を煎じた水を使うというのがもうひとつ。

器に取り分けられたごはん。中央にくぼみを作っているのにご注目

それで仕上がったのがこちらですが、釜からよそってもらったときの青々とした香りだけでも、はるばるやって来た甲斐があると思えるほど魅惑的なものでした。そして、味のほうも期待にたがわず香味鮮烈。ただ想像していた韓方の風味はほとんどなく、味を引き立てるために加えるという、少量の塩と、エゴマ油の香ばしさがいい仕事をしていました。

醤油に香辛料、香味野菜などを加えて味を調えたヤンニョムジャン

ところでごはんの写真、盛りつけ方が少し独特だと思いませんでしたか? 器にこんもりと盛るのではなく、真ん中に分け目をつけてふたご山のようにしてあります。というのもこのごはん、そのまま食べても美味しいのですが、醤油、味噌を加えてもまた味に奥行きが出てくるのです。ということで、ふたご山の片方にはヤンニョムジャンと呼ばれる薬味醤油をかけ……。

味噌にダシや調味料を加えて煮詰めた濃厚な味のカンテンジャン

もう片方にはカンテンジャンという味噌をかけて食べるという趣向です。するとどこかほんわかしたような香りのごはんが、薬味醤油を加えることでキリッとシャープな味わいに。また味噌を加えることでどっしり力強い味わいに化けるという、バラエティに富んだ食べ方で楽しむことができるのでした。さらに釜に残ったオコゲも、水を注いでヌルンジ(おこげ湯)として香ばしさを楽しみます。

釜飯と焼き魚セット。1人前W1万3000で写真の副菜は2人前

のみならず、このごはんにはこれだけの副菜がついてくるのがスゴイですね。品数もかなりのものですが、ちょうど春先の訪問だったので、ゆがいたタラの芽があったり、エゾウコギがあったり。副菜は季節によって変えていくので、そのときどきで山菜やキノコなど、旌善ならではの山の幸を楽しむことができます。メインの焼き魚はタチウオ、ホッケ、サンマ、サバの4種。こちらは常時固定だそうです。

エゾウコギ(韓国語ではカシオガピ)の葉をさっとゆがいたもの

いろいろ並ぶ中で、いちばん印象的だったのは旬のエゾウコギをゆがいたもの。噛み締めると強い苦味を感じますが、それでも不思議な瑞々しさがあって、妙に後を引きました。チョジャン(唐辛子酢味噌)との相性もよく、いつしかその苦味を楽しみにして箸を伸ばすような感じ。季節を楽しみつつ、山間部ならではの素材を満喫できます。なお、2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックでは、旌善でもアルペンスキー競技が行われます。観戦の際は、ぜひ旌善の味覚も楽しんでいってください。

【物件データ】
店名:菊香(국향)
住所:江原道旌善郡旌善邑ノクソン路13(愛山里592-3)
住所:강원도 정선군 정선읍 녹송로 13(애산리 592-3)
Tel:033-563-9967

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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