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きな粉餅を食べて王様が喜んだ町は、ほくほくの栗尽くし定食でも有名

    
八田 靖史
八田 靖史
公州の公山城。百済時代の城址でかつて公州は百済の都でもあった

日本における正月は過ぎ去ってしまいましたが、韓国では陰暦で正月を祝うため、2017年の場合は1月28日が「ソルラル(旧正月)」となります。日本ではそろそろ松も取れて、お屠蘇気分も抜ける頃ですが、韓国ではこれからがまさに正月の準備で大忙し。日本人にとっては2度目の正月が来るようで、ワクワクしますけどね。韓国でも日本と同じく正月には雑煮(トックッ)を食べますし、餅つきなんかもするのですが、臼を使わず板の上で餅をつくなど、似ているようで少し異なるのが面白いところです。

公州名物のインジョルミ(きな粉餅)。ほんのりとした甘さが魅力

つきたての餅は、きな粉にまぶして食べるのが定番。日本のきな粉餅とほぼ同じ食べ方ですが、韓国語ではインジョルミと呼び、きな粉の香ばしい風味がほんのりとした甘味を引き立てます。ちなみにインジョルミとは、「引っ張って、切った餅」という意味で、古い文献を見ると「引絶餅」「引切餅」といった漢字が当てられています。

公山城内は散策路が整備されている。インジョルミの説明板もある

そんなインジョルミにまつわる逸話が、韓国の中西部、忠清北道の公州(コンジュ)という町に残っています。朝鮮時代の1624年に仁祖(第16代)という王様が公州を訪れた際、民家でインジョルミを献上され食べたことがありました。これを王様はたいへん喜んで召し上がり、「この餅の名前はなんというのだ?」と尋ねたのですが、その当時はこれといった名前がなかったんですね。そこで王様が餅を作った主人の苗字、任(イム)氏にちなんで、任氏が作った絶味(たいへん美味しい)餅、「任絶味(イムジョルミ)」と名付けました。これが後にインジョルミと変化して定着。現在に至るのだそうです。

公州山城市場で売られている公州産の栗。公州は生産量も国内屈指
公州は栗の名産地

現在も公州はインジョルミの町として有名ですが、それとともに秋には栗の名産地としても全国に名を馳せます。中でも正安面という地域で栽培が多く、正安栗(チョンアンパム)は韓国山林庁が地域の名産品を認証する、地理的表示林産物の第4号にも登録されています。

農家レストラン「ミマジ」が自慢とする「栗の木の下の定食」

公州には栗料理の専門店もあり、農家レストランの「ミマジ」では栗をふんだんに使ったコース料理を味わえます。上の写真は「栗の木の下の定食(パムナムアレジョンシク)」と名付けられたコース(1人W2万5000、前日までに要予約)。栗だけでなく、オーナー夫妻が自ら栽培する米や野菜とともに組み立てられています。

新鮮野菜とともに味わう栗寒天のサラダ(パムムクセルロドゥ)

主要な料理を見てみると、こちらはまず栗寒天のサラダ。韓国ではどんぐりや、そば、緑豆などのでんぷんを固めてムクという寒天状の食品を作りますが、それを栗のでんぷんで作って生野菜と合わせてあります。トッピングとして薄く切った生栗も散らしてあるので、そのサクサク感と、栗寒天のぷるぷる感が交差し、食味の面白い一品です。

パリッと焼き上げられた栗のチヂミ(パムチョンブンジョン)

そして栗のチヂミ。栗寒天と同じく栗のでんぷんを生地として、フライパンで薄く焼き上げました。表面はパリッとしつつも、中はもっちり。こ栗のチヂミ自体は無味に近い味ですが、不思議とこれだけでも食べられてしまう魅力があります。まずはそのまま楽しんで、後は醤油ダレにちょこんと付けて。

栗と豚肉の煮込み(パムチョッカルビ)。豚のバックリブを使用

メイン料理は栗と豚肉の煮込み。豚肉は骨付きのバックリブという部位を使用しています。じっくり煮込まれているのでほろほろと柔らかく、甘こってりとした味わいに加えて、脂の乗りも絶品です。豚肉と剥き栗の相性も抜群ですが、そこへ真っ黒な剥かない栗も入っているのがポイントですね。鬼皮ごと煮込むことで煮汁に渋味を溶かし込み、甘さ一辺倒にならないようアクセントをつけているのだとか。料理担当である奥様の技術が光る一品です。栗マッコリと一緒に味わってもいいですし、最後に出てくる栗ごはんと一緒に食べても、また格別の味わいです。

隣接する売店では「ミマジ」の奥様が作る栗の染め物製品も販売

おなかが膨れたら、ぜひ隣接する売店にも立ち寄ってみてください。「ミマジ」の奥様はもともと栗の染め物を得意としており、自ら手がけた作品がずらりと並んでいます。そもそも飲食店を始めたのも、染め物の体験プログラムを行う中で、参加者の食事もしたいというリクエストに応えたことから。そこから人気が出て、本格的に営業を始めたという経緯だそうです。

農機具の博物館。近隣で実際に使われていたものを蒐集している

また店の裏手にはご主人や、そのお父様が蒐集なさった仮面と人形の展示館や、農機具の博物館も併設しています。「ミマジ」を含めて全体を公州民俗劇博物館としており、食事のみならず、さまざまな角度から地域の文化を体感できるようになっています。公州を訪れることがありましたら、ぜひゆったり時間を取って足を運んでみてください。

【データ】
店名:ミマジ(미마지)
住所:忠清南道公州市儀堂面トルモル1キル40(青龍里357-2)
住所:충청남도 공주시 의당면 돌모루1길 40(청룡리 357-2)
Tel:041-856-5945

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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