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韓国でカラスを見ない理由 〜竹林浴とスンドゥブチゲを楽しみながら

    
八田 靖史
八田 靖史
韓国語で竹のことはテナムと呼ぶ。韓国では蔚山市と潭陽郡が有名

日本と韓国を比較する際、違いのひとつとして「韓国ではカラスを見ない」という話があげられます。実際、韓国をウロウロしていてよく見かける鳥といえば、黒と白のツートンカラーが美しいカササギ(韓国語ではカチ)ばかり。日本のようにカラスがわが物顔にゴミ捨て場をあさっているという光景はまず見ません。そんな話を韓国人にすると「みんな食べちゃったからね」といった冗談が返ってきたりもするのですが、いわゆる食用という訳ではなく、韓方の世界で強壮剤として使われる例があるという程度です。

蔚山市の太和江沿いには広大な竹林があり竹林浴を楽しめる

あるいは会話の中に「カラスの肉を食べる(カマギ コギルル モンヌンダ)」という表現が出てくることもありますが、これは慣用句で「忘れる」という意味。実際にカラスの肉を食べたという韓国人がいたら、それは何かを忘れたということを主張しているに過ぎません。そもそもカラス自体まったく見ない訳ではなく、あまり見かけないというだけで韓国にもカラス(主にハシブトガラス)はいます。都市部よりも山間部に多いというのが、あまり見かけない理由ではないでしょうか。

竹の葉がさわさわとすれる音を聞きながら川沿いをのんびり歩ける

そして、もうひとつ。地域的な例外として、韓国の東南部に位置する蔚山(ウルサン)という町ではカラスをよく見かけます。蔚山は韓国に6つある広域市(人口100万人以上の行政区域)のひとつ。この町のイメージを韓国人に問いかけるなら、まずいちばんに出てくるのは重工業の町。沿岸部に巨大な自動車工場や石油コンビナートが連なり、70年代、80年代と急成長していく韓国経済の礎となりました。それに続いて、古くからの捕鯨文化を守る町だとか、美しい山岳地域の嶺南アルプスも有名ですが、最近はカラスの住む町としても注目を集めています。

市内を流れる太和江。古来より川に沿って町は発展してきた

こちら蔚山市内を流れる太和江(テファガン)。重工業の町という側面もあり、2000年代序盤までは工場用水や生活排水による汚染が進んでいましたが、2004年にエコポリス宣言を出すなど環境改善に着手。市をあげて川の再生に取り組んだ結果、韓国の水質等級で最低レベルのだった6等級以下(農業用水にも使用不可)が、2007年にはもっともよい1等級へと改善しました。同時に周辺の敷地も整備され、現在は広々とした竹林の広がる公園が市民憩いの場になっています。

カラスたちは日中エサ取りに出かけ、夜になると竹林の巣に戻る

これを喜んだのが人間だけでなくカラスたち。もともと蔚山には竹林を棲みかにしたミヤマガラスやイエガラスが多かったのですが、環境の改善によってその個体数が激増。いまや朝夕になると約5万羽とされる大群のカラスが、群れを作って大移動をする姿を見ることができます。蔚山市ではこれをカラスの「群舞」と呼んで観光の目玉にしており、空を覆いつくすような迫力の光景を楽しめるようになっています。これを見ると韓国にカラスがいない理由は、ここに全部集まっているからではないかと思えてきますね。

カラスは竹林の上をぐるぐる回り完全に日が暮れてから巣へ入る

カラスが巣に戻るのは夕刻から日が沈んであたりが暗くなるまで。ちょうど食事時に差し掛かるので、観賞後は太和江沿いに並ぶグルメストリートへと吸い込まれるのが定番の流れです。

海鮮スンドゥブ。奥の大皿はコンピンデトク(大豆のチヂミ)

数ある飲食店の中から、地元の方が特におすすめしてくれたのがスンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋)の専門店「ハルモニエスンドゥブ」。大豆から手作りする豆腐の味を何よりの自慢としています。

卵は自分で割り入れる。黄身がぱつんとして卵の鮮度もお見事

もっとも人気があるのはエビやアサリを入れた海鮮スンドゥブとか。コクのある海鮮ダシに、ピリッと辛いスープの味が、ふるふると柔らかな豆腐の甘味を引き立てます。

ヤチェチョンドゥブ。地元銘柄のマッコリ「太和楼」とよく合う

専門店だけあって、いろいろな豆腐料理、大豆料理を楽しめるのも嬉しいですね。写真はヤチェチョンドゥブ(田舎豆腐と野菜の和え物)というメニューですが、固めに仕上げた豆腐は甘味がより濃厚になり、甘酸っぱいタレで和えた野菜のさっぱり加減とよく合います。

エゴマとキノコのスンドゥブ。辛さが苦手な人はこちらがおすすめ

スンドゥブチゲの種類も多彩。エゴマをたっぷり入れたクリーミーなエゴマとキノコのスンドゥブチゲに、納豆風味の香りが強烈なチョングッチャン(納豆風味の促成味噌)スンドゥブ、キムチスンドゥブ、牛肉スンドゥブ、そしてテナガダコを入れた鍋仕立てのスンドゥブナクチジョンゴルと用意されています。

スンドゥブチゲが美味しいのもさることながら、真っ黒なカラスをたくさん見た後に真っ白い豆腐を摂取するのは、なにやら体内でのバランスがとれるような印象もありますね。太和江の清き流れのように、すっきりした気分になれるかもしれません。

店名:ハルモニエスンドゥブ(할머니의손두부)
住所:蔚山市中区内鰲山路5(太和洞942-18)
住所:울산시 중구 내오산로 5(태화동 942-18)
Tel:052-224-0393

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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