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オルコットの「若草物語」の里 マサチューセッツ州コンコードを訪ねて

    
舞林鳥 恵
舞林鳥 恵
Louisa M Alcott Orchard House
「若草物語」を生んだ作家オルコットの「オーチャードハウス」

マサチューセッツ州コンコード。ここは、作家ルイザ・メイ・オルコット(Louisa May Alcott)が、1868年に「リトル・ウィメン(Little Women)」を執筆したオーチャードハウス(Orchard House)です。

アメリカ合衆国では1861年に南北戦争が勃発しましたが、「リトル・ウィメン」に登場するマーチ家の父親は、妻と4人の娘メグ、ジョー、ベス、エイミーを残して北軍の従軍牧師として出征します。夫が無事に帰還するようにと祈りながら優しく娘達を見守る堅実な母親に導かれながら、慎ましく暮らす姉妹の日常やクリスマスの様子、裕福な隣人ローレンス氏と孫のローリーとの交流、様々な悩みや事件を通して、4人の姉妹が成長していく過程を生き生きと描いたこの作品は、日本では「若草物語」と訳され、多くの人々に親しまれているルイザ・メイ・オルコットの自伝的小説です。

オルコットのコンコード・オーチャード・ハウスの入り口の看板

アメリカ合衆国国立公園局(National Park Service)の資料によると、オルコット家は、1845年4月から1848年11月年まで、レキシントン・ロードのオーチャードハウスから目と鼻の先にあるヒルサイド(Hillside)という名の屋敷に住んでいました。後にナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne)が移り住み、彼がウェイサイド(The Wayside)と呼んでいた邸宅としても知られています。

Alcott's Orchard Houseの外観と庭

ヒルサイドを引き払った一家が数年後再びコンコードに戻って来て入居したのがこの「オーチャードハウス」で、1857年にルイザの父、エイモス・ブロンソン・オルコット(Amos Bronson Alcott)が945ドルでこの物件を購入した時には、建物は2棟に分かれていました。彼が12エーカーの土地に建つマナーハウスとファームハウスを接合させて改造した後、1855年から1877年まで一家がここに住んでいたということです。

敷地内に40本のりんごの木があったことから、エイモスが自らこの家を「オーチャードハウス(果樹園の家)」と名付けたのだそうです。

ルイザ・メイ・オルコットのオーチャード・ハウスの玄関

ルイザ・メイ・オルコットのオーチャードハウスの玄関脇の花壇

オーチャードハウスは、1965年にアメリカ合衆国国定歴史建造物(National Historic Landmark)として認定され、現在は博物館として一般公開されています。

博物館入口のドアを開けると、そこにはオルコット家(マーチ家)の暮らしぶりを彷彿させるような雰囲気が漂っています。ここはショップにもなっているので、ここで入館料を払いガイド付きツアーに参加すると、食堂、居間、書斎、台所などが見学できるのですが、残念ながら館内での写真撮影は禁止されています。

博物館になっているオーチャードハウスの裏側のエントランス

どこから眺めても趣のある邸宅の向かって右手に玄関があり、左手奥に博物館の入り口があり、ルイザの部屋は2階に現存しています。

哲学学校の前から臨むオーチャードハウス

Cellar Door of Orchard House

これは、セラー・ドアと呼ばれる地下室や貯蔵庫に通じるドアで、現代はメタル仕様のものが使われることが多いのですが、当時は木製のものが使われていました。

小高い斜面のてっぺんからオーチャード・ハウスを眺めていると、ルイザの父親のエイモスが2棟の建物を接合させた当時の様子が、なんとなく想像できますね。

裏側のファームハウス側から臨むオーチャードハウスの全景

博物館内のショップのある建物。昔はファームハウスでした

オーチャードハウスの花壇はボランティアが手入れします

Concord School of Philosophyの正面から
コンコード・スクール・オブ・フィロソフィー

さて、教育者でもあり哲学者でもあったルイザの父 エイモスですが、 1879年に彼がプラトンのアカデミーをモデルとして設立した コンコード・サマー・スクール・オブ・フィロソフィー(The Concord Summer School of Philosophy)が、オーチャード・ハウスの左手奥に建っています。ラルフ・ウォルド―・エマソン(Ralph Waldo Emerson)、ジュリア・ワード・ホウ( Julia Ward Howe) 、ウィリアム・ジェイムズ(William James)、エリザベス・ピーボディ( Elizabeth Peabody)などにより主に超絶主義に関する講義が行われたこの学校は、1888年まで運営され、エイモスの逝去により閉鎖されてしまったということです。

Concord School of Philosophyの裏からの景色

【データ】
ルイザ・メイ・オルコットのオーチャードハウス(Louisa May Alcott’s Orchard House)
住所:PO Box 343 399 Lexington Road Concord, MA 01742 USA
TEL:978-369-4118
Fax: 978-369-1367
博物館ショップのFax:978-369-9611
E-mail: info@louisamayalcott.org
URL:http://www.louisamayalcott.org/

コンコード・サマー・スクール・オブ・フィロソフィー(The Concord Summer School of Philosophy at Orchard House)
URL:http://louisamayalcott.org/csp/index.html

開館時間:
11月1日~3月31日
月~金曜日 11:00~15:00 最終ツアー 15:00
土曜日10:00~16:30
日曜日13:00~16:30 最終ツアー 16:30

4月1日~10月31日
月~土曜日 10:00~16:30
日曜日 13:00~16:30 最終ツアー16:30
4月第3月曜日12:00~
休館日 イースター、サンクスギビング・デー、クリスマス、12月31日~1月2日

入館料:大人 $10.00 シニア (62歳以上) & 大学生 (要ID) $8.00 6~17歳 $5.00
6歳未満& 会員 無料
家族割引(大人2名&子ども4名まで) $25.00

アクセス:
URL:http://www.louisamayalcott.org/directions.html

ザ・ウェイサイド(The Wayside)
住所:455 Lexington Road, Concord, MA.01742
TEL:978-318-7863
URL:https://www.nps.gov/nr/travel/pwwmh/ma47.htm

  
舞林鳥 恵

舞林鳥 恵
80年代後半から日米間を往復する暮らしを始め、現在DCから小一時間の田舎町で夫とのふたり暮らしを満喫しています。カントリーライフの醍醐味をHappyNest in Americaにて配信中。ワシントンDC周辺の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けします。

    

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