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百済の都で国宝の五重石塔を眺めた後、徒歩で行ける釜炊きスープの名店

    
八田 靖史
八田 靖史
国宝第9号に指定される扶余定林寺址五層石塔。高さは8.33m

韓国の中西部に位置する忠清南道(チュンチョンナムド)には、かつて百済という国が存在していました。韓国で伝えられている建国年代は紀元前18年。同時期に栄えた新羅、高句麗とともに7世紀まで勢力を争いましたが、660年に新羅と唐の連合軍に敗れて滅亡しました。忠清南道に属する扶余(プヨ)はそんな百済最後の都であり、現在も足を運んでみると歴史の舞台を間近に感じることができます。冒頭の写真にある定林寺址(チョンニムサジ)の五重石塔もそのひとつ。百済様式の石塔は現存している数が少なく、たいへん貴重であることから国宝第9号に指定されています。ただし、その石塔の残った理由というのが少し物悲しかったりも。

南側基壇のいちばん右。ななめに白いラインが入った部分にある

写真ではなかなかわかりにくいかもしれませんが、南側の基壇部分に目を凝らしてみると、うっすら文字が刻まれているのに気付きます。漢字8文字で「大唐平百済国碑銘」とあり、この石塔は唐が百済を平定したことを記念する戦勝碑だという意味。ここまで攻め込んできた唐の将軍、蘇定方が書き残したもので、これがあるからこそこの五重石塔は後世まで残されました。広大な敷地にぽつんと残る姿を見ると、どこかしみじみとした気持ちになりますね。

扶余定林寺址石造如來坐像。宝物第108号に指定されている

そんな五重石塔を眺めた後、奥の建物に鎮座するこちらの仏様にお参りするのが定番のコース。五重石塔とは時代が異なって高麗時代(918〜1392年)の作であり、また頭部と宝冠部分はさらに後世の作だそうです。全体の摩耗が激しいことからも、長いこと風雨にさらされていたのは想像に難くありません。

サトクッパプ。定林寺址の入口から徒歩で5分ほどの距離
扶余観光定番の定林寺址と併せて立ち寄りたい絶品グルメ店

そんな仏様のご苦労を間近にした後、観光とともにおすすめしたいのがこちらの飲食店。定林寺址の入口を出て、駐車場を抜けたすぐのところ、定林寺址博物館のすぐ裏手にあるという観光客にはありがたい立地です。「サトクッパプ」というスープ料理の専門店で、サトというのは朝鮮時代の役職(地方長官)を意味します。

薪を並べたかのような屋根。東北部の江原道に多く見られるとか

失礼ながら見た目は今にもつぶれそうな外観。五重石塔や、摩耗した如来坐像のように長年風雨にさらされたのかと思いきや、聞いてみると築わずか15年とのことでした。なんでもわざわざ風情を求めて山間部の住宅風にしつらえたのだとか。稲作に不向きな山林地域では、藁葺き、茅葺ではなく木材で覆って屋根に仕立てるんですね。意表を突かれましたが、この外観のファーストインパクトがあるからこそ……。

大釜でぐつぐつと煮込んでこそうま味のエキスが染み出てくる。

入口脇のかまどがより迫力を持つというものです。韓国のスープ料理は大釜で煮込んでこその魅力ですが、なかなか薪の火で炊くという店までは少ないですね。

釜のふたを取ったところ。牛の頭部はすでに煮崩れ始めている

ここでぐらぐらと煮込んでゆくのが牛の頭。なんて書くとグロテスクに思えるかもしれませんが、この程度のチラ見せであれば大丈夫でしょうか。韓国では牛の各部位を煮込んだスープというのが充実しており、あばら肉を煮込んだカルビタン、膝軟骨を煮込んだトガニタン、足を煮込んだウジョクタンといったバリエーションがあります。牛の頭部もいいダシが出るうえ、ほほ肉などの身も楽しめるのが魅力です。

看板料理のサトクッパプ。牛肉のほか長ネギ、卵などが具に入る

こちらができあがったところ。一般的に牛の頭部を煮込んだスープはごはんと合わせて、ソモリクッパプ(牛の頭肉のスープごはん)と呼ばれますが、ここでは店名からとってサトクッパプという名前で呼んでいます。また、ソモリクッパプだとたいていは塩味だけの白いスープとして作るのですが、粉唐辛子や唐辛子油を入れてピリ辛に仕上げるのも特徴です。

ピリ辛の中にもうま味あり。具の牛肉もたっぷり入っている

クニクニとゼラチン質な肉を楽しめるのはソモリクッパプならでは。長ネギや溶き卵も入ってユッケジャン(牛肉の辛口スープ)のような仕上がりといえば想像がつきますでしょうか。ピリッとした辛さがほどよく食欲を刺激します。

あっさり味のコムタン。餅が入っているのでボリュームもたっぷり

辛さが苦手な方、またゼラチン質な部位が得意でない方は、もうひとつの看板メニューであるコムタン(牛スープ)をおすすめします。こちらは大釜で煮込んだスープに、塩で味を調えるだけのシンプルな味付け。肉もゼラチン質より赤身部位を主として入れています。さらには薄切りにした韓国餅もたっぷり入っているので、濃厚仕立てのトックッ(雑煮)とも言えますね。ベースとなるダシは同じですが、シンプルにダシそのものを楽しみたい方にはこちらのコムタンがおすすめです。値段はいずれも8000ウォン。午前9時からの営業なので朝食としてもいいですし、昼食はもちろん、夜は茹でた頭肉を肴に焼酎を飲み、スープでシメるといった使い方もできます。

【データ】
店名:サトクッパプ(사또국밥)
住所:충청남도 부여군 부여읍 의열로 33(동남리 429-4)
住所:忠清北道扶余郡扶余邑義烈路33(東南里429-4)
Tel:041-836-6800

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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