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牛にアレを食べさせると美味しくなる 〜韓国ならではの健康思想に括目

    
八田 靖史
八田 靖史
大皿に盛られたカルビサル。1人前150gで写真は3人前

しばらく前までの韓国では牛肉といえば赤身質のものが好まれ、日本のようにサシの入ったものはほとんど見ませんでした。口の中でとろけるような脂の味わいよりも、しっかり噛み締めることでにじみ出る肉本来のうまさが喜ばれた時代。ただ、それもここ7〜8年ぐらいでずいぶんな変化があり、最近はサシの入った牛も珍しくなくなってきました。冒頭に掲げた写真は韓国の中東部、慶尚北道の奉化(ポンファ)という地域で食べた牛カルビです。

カルビサルは炭火で網焼きに。脂がとろけてとってもジューシー

カルビはもともと韓国語で「肋骨」を意味し、骨のまわりの肉を含んでカルビと呼びます。日本ではよく「骨付きカルビ」という言い方をしますが、韓国では骨がついていてこそカルビ。逆に写真のような骨を外した肉のことを、カルビサル(カルビの身)と呼んで区別をします。骨まわりの肉にガブッとかじりつくのも醍醐味ですが、最近はカルビサルのほうが食べやすいので人気だったりもしますね。

脂が濃厚なのでゴマ油のタレは少量を推奨。肉自体のうま味で充分

また、揉みダレに漬け込んだものをヤンニョムカルビ、味付けをせずにそのまま焼くものをセンカルビとも呼び分けますが、これも最近は素材重視のセンカルビが人気。まずはさっと焼いて塩で食べてください、なんて店も珍しくなくなりましたね。こちらのお店ではサンチュ、エゴマの葉といった包み野菜のほか、キルムジャンと呼ばれるゴマ油と塩を混ぜたタレが用意されていました。

社長自ら韓薬牛をカット。ユッケや牛刺身なども人気のメニュー

美味しい牛肉だったので、お店の方に話を聞いてみると、「ウチは韓薬牛(ハニャグ)を使っているからね」との答え。奉化という地域は韓方材の産地でもあるため、この地域で飼育されている牛もそれらを飼料として食べているのだそうです。ひとつひとつ教えてもらうと、桔梗(キキョウ)、黄耆(キバナオウギ)、当帰(トウキ)、陳皮(ミカンの皮)、芍薬(シャクヤク)、白朮(オオバオケラ)といった6種類が飼料に含まれているとのこと。

奉化でもよく知られた韓薬牛の専門店「銀河スップル会館」

お店の看板には店名よりも大きく「奉化韓薬牛」とあり、その横には「自然が息づく故郷で薬草を食べて育った韓牛」とも書かれています。韓方材を食べて元気いっぱいに育った牛、というのがなによりの自慢と理解しました。

店名:銀河スップル会館(은하숯불회관)
住所:慶尚北道奉化郡奉化邑乃城路129(乃城里352-2)
住所:경상북도 봉화군 봉화읍 내성로 129(내성리 352-2)
電話:054-673-1303

江華島も韓牛の産地。江華島はソウルの西、仁川市に属する島

実はこうした特産品の「○○を食べて育った牛」というのも近年の流行要素。韓国では2009年以降に韓牛(韓国固有種のブランド牛)ブームが到来し、生産地への注目度が高まったことで、地域ごとの特色を出すことが重要になりました。牧場の環境や、飼育方法とともに、どんなエサで飼育しているかもブランド価値と捉えられるようになったんですね。こちらの写真は韓国西部の江華島(カンファド)で撮ったもの。

まずは両面を焼いて肉汁を閉じ込め、ハサミで食べやすい大きさに

大きく切ったトゥンシム(ロース)をハサミで適度にカットし、特製のタレにつけて味わえば、ほとばしるうま味とともに肉汁がどばぁ。これもいい肉でしたねぇ。

江華島はほかに高麗人参、カブ、サツマイモなども名産の品

さて、この牛が何をエサに育ったかというと、かわいらしい牛さんがもしゃもしゃと食べているのは江華島の特産品であるヨモギ。それも江華島にだけ自生するとされる、獅子足ヨモギという特別なヨモギです。

乾燥させた獅子足ヨモギ。韓国語ではサジャバルスッと読む

普段、僕らがヨモギというと草餅にしたり団子にしたりというのが一般的ですが、江華島の獅子足ヨモギはほとんど食用にはされません。一部、お茶やエキスとしての利用はあるものの、多くはお灸の原料になったり、ヨモギ蒸し(ヨモギを煎じた蒸気で下半身を温める民間療法)に使ったりなど、薬用としての価値が高いのだとか。するとこれも奉化の韓薬牛と同じく、健康によいものを食べて育った牛というアピールになるんですね。

トゥンシムだけでなく希少部位を集めた盛り合わせメニューも人気

店名は「江華島ヤクスッ(薬用ヨモギ)韓牛」と、名前そのものが牛の説明になっていました。なかなかに規模の大きな店で、1階は精肉店と飲食店が一体型になった精肉食堂。2階が個室でメニューから注文するレストランスタイルとなっています。

ほかにも各地域を巡ってみれば、リンゴを食べさせた牛や、ミカンを食べさせた牛、ニラを食べさせた牛など多彩。多くはご当地の名産品を食べさせているので、牛肉を通じて地域を知ることができるのもいいですね。ただ、ひとつ注意書きとして添えたいのは、あくまでもエサがそうだというだけで、実際に牛肉を食べても韓方材やらヨモギやらの味はしないということ。個人的には韓方ソースとか、ヨモギ塩なんかを用意してもいいのにとは思いますけどね。あくまでも健康に育てた牛ということが重要。エサの気配をではなく肉質に目を向けて味わってください。

店名:江華島ヤクスッ韓牛(강화섬약쑥한우)
住所:仁川市江華郡仙源面仙源寺址路32(新井里247-1)
住所:인천시 강화군 선원면 선원사지로 32(신정리 247-1)
Tel:032-934-1212

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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