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高麗の都から1200km離れた港には超高級煮干しと極上の海鮮鍋がある

    
八田 靖史
八田 靖史
泗川の三千浦港にある龍宮市場。水揚げされたばかりの魚介が並ぶ

韓国の南海岸に三千浦(サムチョンポ)という港町があります。三千浦と聞くと、三千の浦(入り江)があるのかと思うかもしれませんが、語源をたどると距離の話。高麗時代(918〜1392年)の都であった開城(ケソン)から、三千里離れた浦という意味だそうです。実際の直線距離は365kmほどで、海路を行くとしても三千里(韓国の1里は約400mなので約1200km)まではないんですけどね。そのぐらい果ての土地という意味なのでしょう。なお、かつては三千浦市として独立していましたが、現在は泗川(サチョン)市の一部に統合されています。

貝の盛り合わせ。大きなたらいに種類豊富な貝が集められている

そんな三千浦港に併設される龍宮市場(ヨングンシジャン)。新鮮な魚もたくさん並んでいましたが、個人的に目を引いたのが貝の充実度合いでした。写真は焼き物用として売られている貝の盛り合わせですが、ホタテ、サザエ、オオアサリ、ハマグリなどがこれだけの量でひと山W2万5000(約2500円)。なかなかお買い得だと思いますし、価格の上には「国産」の文字もあります。他の貝はともかく、珍しいなぁと思うのはホタテですね。ホタテはたいてい日本からの輸入物なのですが、最近は三千浦の隣にある固城(コソン)で盛んに養殖が行われています。

干物は日常の食事のみならず、祭祀用としても欠かせないもの

干物類も充実。イシモチ、カレイ、チダイ、メバル、ホウボウなどが並んでいます。韓国人の好きな干物のひとつにカワハギがありますが、これも三千浦の名物だったりしますね。

煮干しは段ボールごとに品質や大きさで細かく分けられている

南海岸の三千浦、南海(ナメ)あたりでは煮干しも名産品として知られています。

チュッパンニョムミョルチ。うやうやしく木箱に入っている

モノによっては木箱に入って、魚の向きも揃えた極上品もあるほど。これらは追い込み漁法で最大限弱らせずにとったカタクチイワシを、すぐさま浜にあげて煮干しとして加工したものです。竹防簾(チュッパンニョム)という竹のすだれで追い込み用の囲いを作ることから、チュッパンニョムミョルチ(煮干し)、またはチュッパンミョルチという名前で呼ばれます。ひと箱で10〜20万ウォン(約1〜2万円)はする超高級品。主に贈答用などで利用されます。

貴賓食堂のヘムルタン。写真は中サイズで4万ウォンという値段

さて、せっかくなのでそんな三千浦の新鮮魚介を楽しみたいなと思いまして、地元の方からおすすめ店を伺って足を運んでみました。龍宮市場からも歩いてすぐという好立地にある「貴賓食堂」。看板料理は地元でとれた貝などをどっさり盛り込んだヘムルタン(海鮮鍋)です。ご覧の通り、ホタテ、サザエ、オオアサリ、ムール貝に、活アワビ、活テナガダコ、ぶつ切りのワタリガニなどが山盛りになって出てきました。

大きな貝やテナガダコは店の人がハサミで食べやすく切ってくれる

ほどよく煮込むとこんな感じに。見た目は真っ赤ですが、辛さはさほどではありません。むしろ海産物のいいダシが出て、うま味の絡み合った味わいに仕上がっています。もちろんスープだけでなく、貝はむっちり、テナガダコはぷりぷり。ぶつ切りにしたセリやモヤシの食感もよく、夢中になって鍋を空にしました。逆に殻入れのどんぶりは見事な山です。

テナガダコをぶつ切りにしたナクチタンタンイ。1皿2万ウォン

サイドメニューとして頼んだナクチタンタンイ。ナクチがテナガダコ、タンタンイはタンタン叩いたものという意味で、すなわちテナガダコを活きたまま包丁でぶつ切りにした刺身のことです。全国的にはサンナクチと呼ばれることも多いですね。厨房から聞こえてくるまな板の音は、タンタンどころか、タンタンタンタンタンタンタンタン! と軽快かつ賑やか。その音に触発されて、という訳ではないでしょうが、ぶつ切りになったテナガダコも皿上でリズミカルにうねうねと動きます。味付けはゴマ油と粗塩だけでシンプルに。テナガダコの鮮度とイキのよさを最大限に楽しむ食べ方です。

固城産のホタテ。韓国では慶尚南道がもっとも多く生産している

また、お店のメニューにはなかったのですが、特別注文でカリビチム(ホタテ蒸し)も作っていただきました。固城産のホタテは日本産に比べてやや小ぶりという話でしたが、食べてみると甘味もしっかり濃厚で美味。いずれは固城にも足を運んで食べてみたいですね。

三千浦の海。この日は幸運にも抜けるような青空でもあった

最後にひとつ余談ですが、韓国で三千浦というとひとつ有名な言い回しがあります。それが「三千浦に抜ける(サムチョンポエ パジダ)」という慣用句なのですが、これは意図しない方向に話がずれたり、うまく行っていたはずの物事が予期せぬ方向に行ってしまうことを表します。もちろんよいことではなく失敗を指すことが多いのですが、その三千浦に行けばこれだけ美味しいものがあるのですから、それもまたよしではないかなと。僕なら意図して三千浦に抜けますね。美味しいものを目指して、仮に寄り道であっても。

【データ】
店名:貴賓食堂(귀빈식당)
住所:慶尚南道泗川市洙南キル93-11(西洞311-30)
住所:경상남도 사천시 수남길 93-11(서동 311-30)
Tel:055-832-6663

  
八田 靖史

八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』(小学館)、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』(三五館)ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。

    

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