栄州市広報大使が推薦する秋の旬グルメを満喫できる3軒
旅いさらでは何度かアピールさせていただいていますが、ワタクシ韓国の慶尚北道栄州（ヨンジュ）市という地域の広報大使をしています。これからの季節、栄州はますます観光シーズンを迎えることもあり、それに先駆けておすすめの飲食店をずらり紹介させていただきます。冒頭の写真は、紅葉の浮石寺。秋の栄州は自然が美しく、美味しいものも満載なので旅行には最適です。
まず紹介するのは「薬膳堂」という栄州ではよく知られた高級店。栄州は高麗人参の名産地であり、収穫時期である10月初旬には高麗人参祭りも開かれます（2015年は10月4〜11日）。「薬膳堂」では高麗人参をはじめとした、地域の特産品を巧みに用いたコース料理を提供しており、栄州を初めて訪れる方にはぴったりのお店です。
1人前W2万2000〜5万5000まで4種類のコースが用意されていますが、栄州の特産品をひと通り味わうならW3万2000の高麗人参定食がおすすめ（価格は2015年7月取材当時）。写真は高麗人参の天ぷらですが、一緒にネギの根と赤唐辛子の天ぷらも出てきました。高麗人参はホクホク、ネギは甘味があって美味しかったですね。
栄州韓牛の焼肉に驚きのシッポが生えたスペシャリテ
前菜も一品一品に手をかけているのが伝わってきます。右手前がクラゲと餅の和え物。お餅の柔らかさとクラゲのコリコリが対照的で、とてもユニークな食感に仕上がっていました。そのほか、左下にチャンアチ（漬け物）3種盛りと、黒ゴマで和えたゴボウとエリンギの和え物。そのほかアズキ入りのカボチャ粥や、桑の実の酵素で味付けをしたリンゴ入りサラダなども前菜として登場しましたが、これらは季節によって少しずつ変わります。
メインの栄州韓牛はさすがの肉質で美味しかったですねぇ。写真はトッカルビという牛カルビを叩いてハンバーグ状にした料理ですが、シッポのようにちょろっと出ているのが、高麗人参の根っこです。ジューシーな肉汁の中から、ほろ苦い高麗人参が出てきて味と風味のアクセントになるという仕掛け。栄州ならではの工夫でした。
一連の中でいちばんグッときたのがこの料理。シイタケに衣をつけて揚げた後、酢豚風のソースをかけたものですが、上に乾燥リンゴの煮物がトッピングされています。絶妙の甘酸っぱさが、シイタケのうま味をよく引き立てていましたね。栄州はリンゴの生産でもシェアのトップを争う名産地。夏の終わりから秋にかけてがちょうど収穫の時期です。
＜物件データ＞
店名：薬膳堂（약선당）
住所：慶尚北道栄州市鳳峴面愼齋路887-14（梧峴里240-9）
住所：경상북도 영주시 봉현면 신재로 887-14(오현리 240-9)
電話：054-638-2728
親子2代で作る豊富なリンゴスイーツが自慢のカフェ
名産である栄州リンゴを味わうのなら、地元民に大人気のカフェ「APPLEBEAN COFFEE」にぜひ立ち寄ってください。若いご夫婦が切り盛りするお店ですが、ご両親が栄州でリンゴ農家をなさっており、そこでとれたリンゴを使って評判を得ています。
お店のいちばん人気は手作りのアップルパイ。パイ生地の間に甘く煮詰めたリンゴがどっさり入っており、甘くジューシーなリンゴの果汁が染み出てきます。立派なサイズのスコーンにアップルジャムを添えてもいいですし、手軽につまめる乾燥リンゴのチップも用意。アップルエード、アップルティーも用意してあるので、まさにリンゴ尽くしのブレイクタイムを楽しむことができます。
ちょうど浮石寺に行く途中にお店があるので、車で行かれる方は行き帰りに立ち寄ってみてはいかがでしょう。ビン詰めされたリンゴのシロップ漬けや、アップルジャムはいいお土産にもなると思います。
＜物件データ＞
店名：APPLEBEAN COFFEE（애플빈）
住所：慶尚北道栄州市浮石面浮石寺路1（韶川里388-8）
住所：경상북도 영주시 부석면 부석사로 1(소천리 388-8)
電話：054-632-4013
サツマイモの甘さを活かしたパイが自慢のスイーツ店
特産品を使ったカフェをもうひとつ。高麗人参、韓牛、リンゴの名産地である栄州は、上質のサツマイモがとれることでも知られています。これも秋が旬の食材ですよね。以前にもサツマイモパンの店を紹介しましたが、こちらの「コグマム」はサツマイモのパイを中心に、たくさんの焼き菓子を揃えているお店です。
自慢のパイにはたっぷりのサツマイモペーストに加え、アズキ、高麗人参（紅参）、チーズといった具のバリエーションも用意。いずれも甘さは控えめで、サツマイモ本来の味を活かしているのがいいですね。
パイのほかにもガレットや、マフィン、まんじゅうといった焼き菓子があり、これらは箱詰めのセットにもなっています。冷凍できるという話だったので大量に日本まで持ち帰り、しばらく楽しむことができました。電子レンジよりも自然解凍がおすすめだそうですが、夏の暑い時期だったので半解凍ぐらいで食べても美味しかったです。
と、ここまでで3軒を紹介しましたが、それでもまだ全部は載せきれませんでした。次回へと続きまして、地元民に愛される穴場店を紹介したいと思います。
＜物件データ＞
店名：コグマム豊基IC店（고구맘 풍기IC점）
住所：慶尚北道栄州市鳳峴面小白路1757-1（梧峴里154-3）
住所：경상북도 영주시 소백로 1757-1(오현리 154-3)
電話：054-638-5955
八田 靖史
1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年より執筆活動を開始し、最近は講演や、企業のアドバイザー、グルメツアーのプロデュースも行う。著書に『魅力探求!韓国料理』（小学館）、『八田靖史と韓国全土で味わう 絶品!ぶっちぎり108料理』（三五館）ほか多数。ウェブサイト「韓食生活」を運営。2015年より慶尚北道栄州（ヨンジュ）市広報大使。
