マニラ留学　Manila

マニラと聞いて何を思い浮かべるだろうか。貧困と混沌、退廃と危険…。
日本のマスメディアが報じるこれらの姿は、決してうそとはいえないが、それだけが真実でもない。よくも悪くも、すべては家族や友達や、愛する人のために一生懸命に生きる人々が生み出したもの。それぞれの町が放つさまざまな魅力は、その町で生きる人々によるものなのだ。何よりの証拠に、人々の見せる笑顔は感動的に美しい。必要以上におびえることなく、しかし、最低限の注意を払いながら、じっくりとマニラを歩いてみてほしい。人々との交流がごく自然に生まれたとき、マニラはきっと身近なものになるだろう。

マニラの地理

フィリピンの島々のなかで、最大の面積を誇るルソン島のほぼ中央部に位置。
西はマニラ湾（Manila Bay）、東はラグーナ湖（Lake Laguna）に面し、このふたつに挟まれた細い地峡のような場所に細長く開けている。その幅は、最も狭い所で10kmにも満たない。
一方、北はマニラ湾に注ぎ込むパンパンガ川（Panpanga River）によって造られた広大な扇状地へと続き、南は大小さまざまな火山が連なるビコール（Bicol：ルソン島南部の総称）へ、ビコールの先は小さな島々が連なるビサヤ諸島（Visayan Group）へと続いている。

マニラの気候

マニラは年間をとおして気温が高く、一番下がる12～1月でも、平均気温25℃ほど。だが、雨季と乾季が明確に分かれているため、6～10月（特に7～9月）には多量の雨が降る。排水の設備が十分に整っていないため、一度に大雨が降ると町中が水であふれ返り、交通機関が完全に麻痺するといった光景も珍しくはない。
また、毎年台風の通過点となっている地域でもある。特に7～10月に旅行する際には飛行機や船の便の欠航だけではなく、洪水や土砂崩れなどの危険もある。旅先で思わぬ災害に巻き込まれないためにも、天気予報やニュースには十分に気を配りたい。

メトロ・マニラ　Metro Manila

メトロ・マニラ　Metro Manila イメージメトロ・マニラ（通称マニラ）はフィリピンの首都。マニラ市（Manila City）をはじめとする、17の行政地域（市や町）の集合体だ。タコのような形をしたフィリピン最大の島、ルソン島のほぼ中央、ちょうど首の部分に位置する。人口約1,294万人からなるこの首都に、フィリピンの政治・経済・文化のすべてが詰まっているといっていいだろう。マニラのある場所は、かつては名も知られない小さな漁村に過ぎなかった。16世紀に入り、スペインがフィリピンを占領すると、ここに支配の拠点としての城塞が築かれる。それが現在のイントラムロスである。これ以降、マニラは都市としての歴史を歩み始めることになる。ほかのアジアの大都市の多くがそうであるように、マニラもあまりに急激に発展した町であり、肥大化という表現がよく似合う。秩序より先に都市が大きくなってしまった。全国からここへ人々が流入してくることによって生まれる貧困と、そこから自然発生してしまう退廃。経済発展によって増え続ける車の日常的な大渋滞と、吐き出される排気ガスによる汚染。マニラが抱える数多くの苦悩は、外から訪れた者にも強烈に伝わってくる。しかし、だからといってむやみにこの町におびえる理由はどこにもない。ここもまた、穏やかで堅実な生活を送る人々の暮らす町なのだ。
エルミタやマラテ界隈の猥雑ともいえる混沌、マカティ市の日本と違和感ない現代性、ともすれば殺伐とすら見えるケソン市の計画的な整然…。確かにその表情はさまざまだ。しかし、マニラをじっくりと歩いてみると、この都市がさらに豊かな表情をもっていることがわかる。エルミタやマラテ地区は、昼と夜ではまったく違う表情を見せ、その少し北の、渋滞する幹線道路に囲まれたイントラムロスの城壁都市のなかでは、時が止まったかのような緩やかな印象を受ける。さらにパッシグ川を渡ってチャイナタウンまで歩けば、その町並みはどこか懐かしく、一方で中国系の人々のパワーあふれる姿に圧倒させられたりする。歩くだけでも、マニラは鮮やかにその表情を変えていくのだ。これだけの魅力を多様に秘めた都市は、世界でも数少ないであろう。